出水と太刀川さんと風間さんに挟まれる話。【ワートリ】
第7章 第7話
言ってしまった。
だが三輪の表情がわかることはなかった。
「その監視役があの女だろ?」
「………!!」
「いや、ただの推測だ。お前と陽介と彼女の反応を見て状況判断しただけだ」
「……………………………………………」
「…どういう経緯でこうなったのかは知らないが、バレたら謹慎1ヶ月では済まないだろう」
「んなこと言ったって…ワザとこうしたってわけじゃ…たまたま偶然…」
「まあ、それもそうだが」
会話が途切れた。
三輪にばれてしまった。
本部に言われてしまうだろうか。
もし言われたら日向は監視役じゃいられなくなるし、おれもまた謹慎になってしまう。
…どうしよう。
「俺が本部に言えば、あの女は監視役から外されるだろうな。公正な判断ができないからな、知り合いでは」
「………………………………」
…別に監視役から外されること自体には抵抗はない。
だがそれは俺と日向が風間さんや太刀川さんから離れた場所で二人で居られる時間がなくなるということに繋がる。
それをこんな、嫌に思うなんて。
いつから俺は独占欲が強くなったんだ。
俺のものでもないのに。
「………なにか事情でもあるのか?」
その事情はとてもくだらない気持ちの問題だ。
三輪からすれば知ったことではないだろう。
「……なんだその顔は」
?
「何って…」
「世界が終わったかのような顔してるぞお前」
「…………………………………」
また顔に出てしまったか。
この鉄仮面に言われるとは…。
「………そんなに報告されたくないなら別に言わなくてもいいが」
「っ!ほんとか!?」
「別に言ったところで俺に得はないしな。まあ監視なんてどうせ建前の条件だろう。甘い忍田の考えそうなことだ。お前の知り合いだろうがなかろうが大して結果は変わらんだろうさ」
「じゃあ───」
「俺としては先週お前と陽介が謹慎だったせいでこっちに回された防衛任務の借りを返してもらいたいところだ」
「………すいませんでした」
「ちなみに監視の話を聞いてるのは俺と太刀川だけだ。俺に関しては城戸さんから軽く世間話程度に聞いただけ。太刀川にはちゃんと話が行ってるだろう」
「…そうか」
………なんとか助かった。