出水と太刀川さんと風間さんに挟まれる話。【ワートリ】
第4章 第4話
「どうします?このあと」
風間さんは ん、と時計を見てから、
「とりあえず歌川と菊地原は帰そう。お前は平気か?」
と言った。
「はい、俺は全然。帰したあとはどうします?解散でいいすか?」
「ええ〜〜2軒目行きましょうよ〜〜」
太刀川さんがタダをこねる。
「俺は2人を帰して帰る。日向も帰るなら送るが」
「あっ、と…そうですね、私も結構疲れて眠いですし…」
日向はそう言いながら口元を手で覆いながらあくびをした。
その時見えた喉がやけに妖艶に見えた。
「んじゃあ名無しちゃんは俺が送るよ」
「却下」
サッと立ち上がった太刀川さんに、風間さんが厳しく告げた。
「お前は信用できん。俺が送る」
「ひっどいなあ〜〜俺そんなに信用ないですか?」
「ない」
昨日俺にあれだけ自信満々に平気だっていってただけあってショックがでかいらしい。
いい気味だ。
「大丈夫ですよ、風間さん。一人で帰れます」
日向が身なりを整えながら言った。
それはいくらなんでも不用心すぎるだろ…。
「いや、そういう問題じゃなくてだな…」
「ん〜じゃあ、たしか太刀川隊の寮ってコンビニの方ですよね?私の家もそっち方面なんで、ついでに一緒に帰ります」
「…本当にいいのか?」
「はい、大丈夫です」
少し酔い気味の日向の笑顔はこの上なく可愛らしいなと思った。
「……」
風間さんは訝しげな目を太刀川さんに向けたあと、
「出水」
と俺に声をかけた。
「はい」
「お前も見張っとけ。こいつが変なマネをしないように」
「…うっす」
そう言って風間さんは2人を起こし、会計を済まし店を出た。