出水と太刀川さんと風間さんに挟まれる話。【ワートリ】
第4章 第4話
太刀川さんが若干キレ気味に言った。
「えっ、あっ!いや、その…」
日向はまた午前中みたいにあたふたしていた。
「…二人はどうやって知り合ったんですか?」
疑問に思ったので聞いてみた。
すると、横の太刀川さんから厳しい視線が。
どうせ、「2人の話じゃなくて日向の話だけ聞け!」とか思ってるんだろうなぁ。
「えっ?えと…」
「こいつがデザイナー見習いでウチに来て、俺たちの担当になってからちょくちょく連絡を取っている。以上だ」
風間さんは赤面して慌てる日向と比べて淡々と喋った。
「ほーう?それだけの関係には見えませんがね〜〜?」
さらに煽る太刀川さん。
もう酔ってんのか?
「そっ!それは!」
しつこい太刀川さんにイラついた風間さんを察したのか、日向が身を乗り出した。
「私は今、一人で暮らしてて…家族は別のところに住んでるんですけど、それで、一人暮らしにも慣れてなくて、色々風間さんには相談に乗ってもらったり協力してもらったりしていて、仕事以外でもお会いすることはよくあるんです」
なるほどな…
太刀川さんの顔が気になったので見てみると、さっきのふざけた顔から真面目な顔になって日向の話を聞いていた。
態度変わりすぎだろ。
「だから風間さんにはほんとに感謝で…私が今この見習いを続けていられるのも、風間さんのおかげなんです」
「日向、もういい。あまりベラベラ喋るな」
風間さんはあまり知られたくないようで、日向の口を止めた。
「女の子にそれはないでしょう風間さん。せっかく感謝してくれてるんですから!」
「お前には関係ない。そもそもお前は日向と話をしたいんだろう?さっさとしたらどうだ」
風間さんは腕を組んで背もたれに寄っかかった。
俺の勘違いかもしれないが、風間さんは少し嬉しそうに見えた。
「それじゃあお構いなく」
その後、飲み食いしながら場は盛り上がっていった──────────。