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出水と太刀川さんと風間さんに挟まれる話。【ワートリ】

第4章 第4話


「「とりあえず生」」

「太刀川さん2杯目っすよね?」

「テンション上げてかないとな〜」

悪酔いしなきゃいいけど…

「名無しさんは生飲まないのー?」

菊地原がストローに口をつけながら聞いた。

おそらく中身はコーラだろう。

「私、ビール苦手で…私はカクテルかチューハイにしとこうかな」

へぇ、ビール苦手か…

「苦みが苦手ってこと?」

ずい、と太刀川さんが身を乗り出して聞いた。

「あ、はい。ビールってまずくないですか?」

日向は午前中にあった時よりハキハキと喋っていた。

「その苦みがたまんないんだよね〜名無しちゃんも飲んでみなよ〜」

…ナチュラルに下の名前で呼んでいた。

「ビールを美味しいと思って飲んでるやつなどいない」

風間さんの鋭い一声が投げられた。

「ビールは酔いたい奴が飲むものだ。そういう気分の時に飲めばいい」

「…そういう気分、ですか?」

「嫌なことがあって忘れたいとか、パーッと気分転換したい時」

「へぇ〜…じゃあ風間さんは嫌なことでもあったんですか?」

風間さんはたしかさっき太刀川さんと一緒にビールを頼んでいた。

「いや…もうひとつの理由だな」

「パーッと気分転換したいんですか?」

「少し違うが…まあ似たようなものだ。この人数で飲むのは久々だからな」

風間さんが居酒屋にいること自体が珍しいと思うけどな。

「それに、お前と飲むのも初めてだしな」

「そっ…そうですね」

日向は一瞬目を見開いて視線を泳がし、俯いてしまった。

…風間さんがばれない程度に微笑んだのを俺は見逃さない。

「…お二人さんずいぶん仲がよろしいようで」
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