出水と太刀川さんと風間さんに挟まれる話。【ワートリ】
第2章 第2話
「そんなのいるんすか?」
初耳だった。
「俺らのもそうだけど、俺らが隊服の案を出してそれをちゃんと着れるように調整したりデザインするところがあるって聞いたぞ。特注品だし、外部に漏れると困るから本部で管理してるんだと」
「へぇ〜〜。それなら本部制服の納得も行きますね」
「未成年の隊員が多いからサイズの調整とかも多いらしくてな。一流しか雇ってないから人手不足なんだと。最近B級のチーム増えてきたし、引っ張りだこだって忍田さん言ってたな…」
…ん?
「一流しか雇ってないってことは、学生は無理ですよね、そこに勤めるの」
「だろうな」
あれはどう見ても俺と同い年か年下だった。
…ということは、ありえない、か。
「明日風間さんに聞いてみるわ。んで、ついでに顔も拝んでくる」
「俺も聞いたんすけどなんかはぐらかさらて答え聞けてないんですよ」
「お前と違って俺は風間さんから信用あるから平気さ」
…どこからそんな自信が出てくるのやら…俺と大して変わんないと思うけど。
「大学は?風間さんはもう夏休み入ったって言ってましたけど」
「2限のみのクソ講義だからブッチしても問題ナシ」
太刀川さんは単位やばいから夏休み遅いんだろうけど…
「後で単位がどうこう言っても知りませんからね」
太刀川さんは至極余裕そうな顔でフライパンをあおっていた。
「よっしできたぞ〜」
湯気の立つ皿を持ちながら太刀川さんがキッチンから出てきた。
「うわ、なんだこれ」
コトン、と置かれた皿の上には肉、肉、肉、と、申し訳程度の野菜。
「太刀川慶流野菜炒め」
「これじゃ肉炒めっすよ!野菜もうちょい入れてくださいよ!!」
太刀川さんの料理は普通に食べられるけど、やっぱりクセがある。