第2章 目覚め
_灰色の景色、何も鮮やかな物はない
_なんで私は今、屋上に?
さっきまで3人といたじゃない
私は知らない間にフェンスの向こう側に立っていた。
_待って、飛び降りるの?嫌だ…体が思うように動かない
足が勝手に前へ前へと前進し、あと2、3歩、歩けば落ちてしまう距離にいた。
_足掻いても全く駄目だ…寧ろ、絶壁に吸い寄せられてる
_動いて…嫌だ
_飛び降りるなんて絶対!
私は目を反射的に閉じてしまった。
飛び降りちゃったのかな…私。
その瞬間、誰かに背中を支えられたような気がした。
「おい!悠しっかりしろ!」
松岡君…の声?
薄っすらと目を開けると鮮やかな空色とルビーのようにキラキラ輝く瞳がそこにあった。
「松岡…く…ん?どうして泣きそうになってるの?」
今にもルビーのような瞳から雫が溢れそうになっていた。
「嫌だ…泣かないで?ほら、全然無事だよ?気にしな「気にしないはずがねぇだろ!」
松岡君が私を立ち上がらせた。
「もう、今日は帰れ。こんなんじゃ勝負にもならねぇ。」
冷たい風が私達の間を通っていった。