第3章 新たに
「さっきはごめんね。体調の方は大丈夫?
悠、明日会えるかな?少し話したい事がある。都合が良ければお昼に迎えに行くから。」
真琴君が心配してメール送ってくれたんだ…
私はすぐに承諾の返信をした。
今日はもう考えすぎて頭が痛いし、身体が重い。
私はベッドの上に再び寝転んだ。
ベッドに身体が落ちて行く。
その感覚は昨日見たあの夢の感覚。
深い水底に沈んでいく感覚。
泡は射し込んだ光に向かって上へと上がって行くのに私は堕ちていくばかり。
私は置いていかないでって言った。でもそれは誰に?
窓から射し込むオレンジ色の光はあの夢の光のようだ。
同じ光景が目に写っている。
私は手を伸ばしたが、光は私の手をすり抜ける
どうして、私だけそこにいるの?
彼らに関する記憶は何処へ消えてしまったの?
光に照らされて輝いていたあの泡は私の記憶?
人魚姫は美しい歌声と引き換えに痛みを伴う脚を手に入れた。
じゃあ私は記憶を引き換えに何を得た?
ふと、屋上から飛び降りた夢を思い出した。
飛び降りた時、冬服を着ていた。
青い瞳の女の子と目があって、何を言った?何故微笑んだ?
_命と過去?