第3章 新たに
あれから何時間が経っただろうか。
部屋にはオレンジ色の光が射し込んでいる。
ベッドに横たわりながら、今まで松岡君とのやりとりを見ていた。
『凛』
私は今までそう呼んでいたみたいだ。
黒髪君は七瀬遙君『ハル』
茶髪君は橘真琴君『真琴』
松岡君の妹さんは『江ちゃん』
SNSからある程度の情報を収集した。
だが、肝心の「見たことのない景色」が分からない。
遡っても無かった。
他人の会話や人生を覗いているような気がした。
心が空っぽだ。
彼らに関すること全てを忘れてしまっている。
それはいつの日かわからない冷たい季節に屋上から飛び降りたから?
目があった青い瞳の女の子は関係するの?
彼女は誰?
同じ学校だったのは間違いない。
だけど…
考えていると、携帯電話が振動した。
_橘真琴_