第1章 うそみたいなできごと。
落ちたのかと思って手当り次第探すもどこにもない。
なんで?帰ってきた時はあったよね?
レノさんが現れて、辺りを見渡したら自分に似たフィギュアがあって気持ち悪くて隠しちゃったとか??ありえん事もない…!
大事なものだけど聞きにくい!というか聞けない!
あー!!!と思いながらバフン!とタオルケットにくるまる。
どうしようどうしよう!
わたしはもう一度恥ずかしい思いをしなきゃいけないの??
いやあ、聞けない…聞きたくない…。
タオルケットにくるまって、悶々としてる間にバイトで疲れていたわたしはそのまま寝てしまった。
☆☆☆☆☆☆☆
くそ……訳わかんねぇ…。
なんで知らねえ世界に居るんだ、俺は。
あっちの世界は今どうなってる?社長たちは?無事なのか?
救いとするならあの女の子がここに泊めてくれるってことか…。完全に信用する気はないが、危ない人物でもなさそうだ。年齢を聞いちゃいねぇが、まだ幼そうな見た目をしていた。体はそうでもなさそうだったが。
シャワーを浴び終え、乱暴に水滴を拭う。髪は普段から自然乾燥だ。
リビング?に戻ると(狭い家だな)ベッドの上に丸いのがいた。近づくとあの女の子がタオルケットにくるまっていた。タオルケットが大きいのかこの子が小柄なのか。
ベッド脇にしゃがんで寝顔を観察する。
(男がいるってのに、まー無防備な寝顔だぞ、と)
幼い顔してても、案外男を部屋に入れるのは慣れっこってか?
そのままベッドに背を預け、胡座になり目を瞑る。
ベッドがキシ、と音を立てた。
「ん、…ん?」
背後で燐が起きる気配がした。
「悪ぃ、起こしたか」
「…あぁ、いえ…あの、ベッド使ってもらって大丈夫ですよ…?」
「は?」
「すいません…寝ちゃって…どうぞ」
そう言ってベッドから退き、俺の隣に腰掛ける。
「何言ってんだぞ、と。アンタの家で、アンタのベッドだろ。アンタが寝ろよ、と。」
「…?」と首を傾げる。
「だからこそ、わたしの家に来たレノさんはお客様ですよね…?」
今度は俺が首を傾げる番だ。
「お客様って…」
「違う世界から来たとしてもお客様はお客様ですから。」
ね?とベッドに促される。