第1章 うそみたいなできごと。
「俺の話っつったってもうアンタが話したろ。」
「え?」
「…その通りなんだぞ、と。アンタが話した、俺についての話。」
「え、じゃあ、今は…?」
ACの話だってした。
じゃあ今は?ACが発売されてから結構経つよ…?
「今は『その後』、だな。神羅は再建されてない。まだな。」
「……うーん…次元が違うから……?時間の経過の仕方が違う…?」
「とりあえずここは俺の知ってる世界じゃねえってことだな。加えて、俺がどうやって、何が起きてここにいるのか、どうやって戻れるのかもわかんねぇときた。…はぁ〜どうすっかな」
ばたん、とテーブルに突っ伏した。
うーん……
「……あのう……戻れるまでここに居ていいので…」
「マジか」
「はい…さすがに知らない世界なのに出ていけなんて言えませんよ。部屋の中にあるものは使って大丈夫なんで、もし使い方がわからないものがあれば言ってください。」
「おー助かるぞ、と。」
「ひとまず、様子を見る、というか…」
「……そうだな…。」
ひとまずの話が終わり、時計を見た。うわ、結構経ってる…。
「えーっと…レノ、さん、そのまま寝ます?お風呂入ったりします??」
「おー…風呂…シャワーか?」
「はい」
「じゃあシャワー借りるぞ、と」
そう言ってレノさんが立つ。(なんか実物大?のレノを見るとレノさんって言っちゃうな…)
「使い方は───」
「ああ、さっき見たから大丈夫だぞ、と」
「み、、!あ!はい……」
そうだった。わたし裸見られてたんだった…。
「何赤くなってんだ?」
「えっ?あ、いや……なんでも…。」
…レノさんにとっては何でもないんだなあ…。そうだよね…きっとたくさん見てきてるよね…。
「タオルは棚に入ってるので。上がってきてわたしが寝てたら、あっちの電気も消してもらっていいですか?」
「りょーかい」
そう言うとすぐにジャケットを脱ぎ出したのでわたわたと洗面所を出る。
はあ…つ、疲れた…。衝撃で疲れが吹っ飛んだって一瞬思ったけど、やっぱり疲れてた。ベッドに倒れ込むとすぐに睡魔が襲ってきた。
寝る直前にレノフィギュアをちらりと見た。いや、見ようとした。
「あれ…?」
いつもの場所に、レノフィギュアがなかった。
「え、え、ちょ、うそ、なんでっ?」