第1章 うそみたいなできごと。
「服を着てからでいいですか!!!!!」
「ぶはっ!」
目の前で笑われた。
☆☆☆☆☆☆☆
体を拭いて服を着る間、レノ似の人は洗面所から出てくれた。
今、リビングで正座してる。わたしが。
レノ似の人は胡座をかいている。
お客さんとしてもてなした方がいいのか悩んで、まぁしといて損はないよな、と思ってお茶も準備した。
今は夏なので夏らしく麦茶。
「で?」
「え?」
「え?じゃないぞ、と。質問したろ。『ここはどこ』で、『アンタは誰』だ?って。」
「あー…はい…」
だめだ。レノ似どころじゃない。レノにしか見えない。
困惑しながら『ここはどこ』を説明する。一応日本というところから初めてみた。その時点で違和感というか、『もしかして』と思うような反応をされた。
「そして、ここはわたしの家で、わたしは井浦燐といいます。」
説明を終え、レノ似の人の様子を伺うと、テーブルに肘をつき、その肘をついた側の手をおでこに当てるようにして頭を抱えていた。眉間にはシワも寄っている。
「……なるほどな……いや、なるほどなとは言い難いぞ、と…。」
はぁ、、とため息をついた。
「あの…」
「あ?」
おでこに当てていた手を今度は顎乗せに使い、わたしの方を見てくれた。
う、見ないで…赤くなっちゃうから…!
「その〜……もしかして、お名前が『レノ』だったりしませんか…?」
馬鹿らしい、というか、馬鹿な、と思ってしまう質問だったけどしないわけにはいかなかった。あまりにも似すぎていて、レノとしか思えない。
「……そうだけど……なんで俺の名前知ってんだ?」
うわぁ、すごく訝しげに見られてる~…
「あ、えっと……」
なんて説明しよう?まさかほんとに『レノ』だとは思わなくて、ありえなさ過ぎて『レノ』だった場合のこと考えてなかったよ…。
悩んだ末、わたしが知っている『レノ』について話した。
☆☆☆☆☆☆☆
「…意味わかんねえぞ、と…」
話終わったあとの感想はそうだった。
わたしも同意です。レノ。
「俺がゲーム…?」
「あ!あの!」
「……」
わたしの呼びかけに無言で視線を向けてくれる。
「あの、レ、レノ、さん、のお話、聞かせてください…」
「…俺の?」
「はい…」