第1章 うそみたいなできごと。
もともと、60cm級のドールでレノを作ろうかと思ってたんだけど、わたしにはそんな器用な技術はなかった……無念。
まぁ、とか言いつつ、赤モチーフのドールはオーダーして作ってお迎えしちゃったんだけども……。
ま、着替えさせたりとかはできないけど、タークスの黒スーツってのが好きなポイントのひとつでもあるからまぁ満足。顔の出来栄えも結構いいし?
(あーあ。このレノが藤原啓治さんボイスで喋ってくれないかなあ。)
そんなことを考えながら靴を履いて玄関を出る。
戸締りもOK。
昔あったよね〜。
15cmの彼女、みたいなやつ。
○○くんの恋人的なドラマの名前だったような…。
あんな感じでレノが具現化されてもいいんじゃないかな?
なーんて。
☆☆☆☆☆☆☆
「疲れた…」
金曜日の夜は大忙し。自転車通勤だから終電とか関係ないんだけど、日付をまたぐといまだに「ああ……」っていうなんとも言えない気持ちになる。
どっと疲れが来るというか…。
バタバタと倒れ込むように玄関に入り込む。
体力があまりないというか、いや、これは気持ちの問題かな。好きな事じゃないとやる気が起きなくて、年がら年中、眠気があるという…。
(ご飯……よりもお風呂……シャワー…)
お酒はもちろん、タバコの匂いがすごい。
タバコの匂いって漂ってるくらいはいいんだけど、染み付くと臭いんだよね。
レノのタバコは大歓迎かも、くらいは考えるよね。好きなキャラだもんね。
「ただいま、レノ」
荷物を置いて、着替えを持って浴室に行く。
みんなもこんな風に好きなキャラのフィギュアとかねんどろいどに挨拶してんのかなあ?
服を脱いで洗濯カゴに入れる。
トリマー1本のときは制服が決まってたから毎日のように洗濯していたけど、わたしの働いている居酒屋は自前のTシャツでいいからとても楽。
一応週一でトリマー業もしている。友達のとこを手伝いに。
まったくしないでせっかく取った資格を無駄にするのも嫌だったから…。
う〜ん、中途半端!
ポポイ、と下着も脱いで洗濯カゴに入れる。
浴室内に入って、蛇口をひねる。
最初はお湯が出ないから湯船の方にシャワーを向ける。そしてそのまま、明日のために湯船を洗い始める。
これがめんどくさい時とそうじゃない時がある。