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親友を取った男の部下に堕とされました

第4章 カウントダウンと決定打


金曜日の朝。
「おはよう弥作」
「おはようゆうは。鶴見さんが明日の夕方、短い時間でいいならって」
「明日ァ!?弥作は来週末なのに!?」
「だから、短い時間しか取れないんだって。鶴見さんは忙しい人なのッ!」
「あ、ああ…そうか。場所は?」
「ゆうはの家に来るって言ってたよ」
「…わかった。ありがとう」
完全に予想外だ。一日しか時間がないなんて…もう学校なんか行ってる場合じゃなくないか?弥作を引き止められるかどうかの瀬戸際なのに。
「ちょっと心の準備するから今日は学校休むわ」
「ええ!?しょうがないな、先生には風邪って言っとくね」
「すまん!」
優しい弥作に感謝しながら、俺は自分の家に駆け戻った。

実は家を出る前に少しだけ手がかりになりそうなものを見つけたのだ。明日までにそこを突き詰められればいいんだが…。
パソコンを立ち上げ、何度も潜り込んだ第七商社のサーバーに侵入する。
やっぱりだ。鶴見の所属している27部で不自然に金が減っていた。鶴見の隠し事は金の横領とかか?でも金を持っていったのが鶴見である証拠はどこにもないからこれだけで問い詰めたってしらばっくれられて終わりだろう。
それから月島と前山。第七商社の社員リストのどこにもそんな社員はいなかった。少なくとも二人は第七商社での鶴見の部下ではないという事だ。
『ボクに入ってほしいのは第七商社じゃないんだって』
『…じゃあどこだよ?』
『名前は忘れちゃったんだけど、第七商社の子会社みたいな所で…あっ、ごめんゆうは、これ言っちゃダメなんだった』
ふと弥作との会話を思い出した。月島と前山は、たぶんその「子会社みたいな所」の所属なんじゃないだろうか。
埃っぽくてだだっ広い家に、俺がキーボードを叩く音だけが響いていた。

やがて何重にも鍵のかかった極秘ファイルらしきものを偶然に近い形で見つけ出すことが出来た。これが関係のないものだったらどうしようという不安は思考の隅へ追いやって、パスワードを解いていく。
「居た……!」
ようやく開いたファイルの中に、月島と前山の名があった。見た感じ普通の社員リストのようで、いくつか第七商社にいた名前もちらほらあった。
しかしその社員リストのページ以外は第三者に見られてもいいように暗号化されているらしく、どうにも要領を得ない。
気づけば日は傾いていた。
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