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親友を取った男の部下に堕とされました

第8章 堕ちる


「足はもう立てそうか」
「え?」
「力は入るか?」
「あ…はい。もう大丈夫です」
差し出された手を思わず取って立ち上がる。月島がしていたゴム手袋はとっくになく、月島の後ろを見ると床に投げ捨てられたタオルの上にそれらが落ちていた。
月島の手に触れていると、この指がずっと俺の中に…と思って顔に熱が集まってしまう。
「どうした?」
「いえ…」
どうしよう。めちゃくちゃ辛かったけどそれ以上に気持ちいいことを散々されたせいで、月島がかっこよく見える。そう言えば辛い思いはさせられたけど、痛いことはされてないし、最初から言ってた通り、約束した瞬間にやめてくれた。全部俺が意地張ってたせいであって、月島のせいじゃないんだ。方法も鶴見が選んだとか言ってたし。じゃあ、少なくとも月島を恨むのは筋違いだよな。まあこの場合、俺が誰かを恨もうなんて思うのが筋違いなんだろうけど…。
いけない、また自己嫌悪だ。
こんなことを考えたってキリがない。俺は首をぶるぶると横に振った。
月島に手を引かれ、荒れ果てた部屋を後にして外へ出る。深夜なのは本当だったようで、外は真っ暗だった。暗すぎて星が綺麗だ。街灯とかも見えないから、山奥か何かだろうか。
「こっちだ」
「あ、はい」
呼ばれた先には夕方に見た軽自動車。

疲れからか、車に乗ってすぐ俺は眠ってしまったらしく(あれだけ泣き叫んだのだから当たり前ではあるだろうけど)、目が覚めたら自分の家のベッドの上だった。

昨日のことは全部夢だったんじゃないかと狼狽えたが、枕元に置かれたボイスレコーダーのせいで現実を突きつけられたのだった。
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