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親友を取った男の部下に堕とされました

第2章 決意


「おはよ、ゆうは!」
「おはよう、弥作」
翌朝、弥作と並んで学校に向かう。これもいつもの日課だ。
「なんかやけにスッキリした顔してんな?やっぱ昨日何かあったのか」
「あ、わかっちゃう?」
弥作は自分の頬を両手で覆い、キラキラと目を輝かせた。
「ボク、決めたんだ!鶴見さんのために働く!!」
「はあ!!!??」
突然すぎて思わず絶叫してしまった。
待てよ、待て、待ってくれ。勝手に遠くへ行こうとするな。
「昨日鶴見さんとお話して思ったんだ。ああボク、この人の力になりたい、この人の役に立ちたい…って」
「弥作…」
両手を胸の前で握って祈るようなポーズをした弥作は、軽い思いつきなんかじゃなく、決心した目をしていた。
「でも、昨日はあんなに悩んでたじゃねーか。…そうだ、あいつの万年筆じゃない方の忘れ物って何だったんだ?」
「もー、あいつじゃなくて鶴見さんって言ってッ!」
「ごめん。……で、その鶴見さんの忘れ物って?」
俺が聞き直すと、弥作は昨日の鶴見みたいな含みのある笑い方をした。あ、ヤな感じ。
「鶴見さんと約束したの。…昨日したことは二人の秘密だよって」
そう言って微笑んだ弥作の表情がひどく大人っぽくて、見たことがなくて、俺は鶴見への敵対心をさらに燃やしたのだった。
俺の親友に何したんだ、鶴見!!!!
「それにしたって、なんでそんな急に決めたんだよ。まだ、もうちょっと考えとこうぜ。高校だって始まったばっかりだしさ」
俺が必死で弥作を引き止められる材料を探していると、弥作はふふんと得意げに鼻を鳴らした。
「鶴見さんがね、ボクが勉強をしたいなら働きながらでも教えてくれる人を紹介してくれるんだって。それにボクね、よくよく考えたらゆうはと一緒に居たかったから高校に入っただけで、ゆうはがいなかったら通ってすらなかったと思うんだ。だから高校に未練はないや」
そんなの俺だって一緒だよ。弥作と一緒に居たいから高校に入ることにしたのに。弥作がいなくなった高校なんて俺、孤独で死ぬ。なあ、俺と一緒に居られる時間が減るからって断る選択肢はなかったのか。
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