第4章 純血と混血
マルクがキサラ達に離れるように言うと、深海と空色が混じった瞳は一瞬で紅く染まり、彼が重力を無視してふわりと浮いた。
途端に風が吹いて、彼の手の平から炎が現れ、宙を舞うように、自由自在に炎を扱い、明かりの無かった城内に蝋燭の灯(ひ)が灯された。
灯りの灯ったシャンデリアが幻想的に見えて、キサラは「綺麗……。」と言った。
イリア:「ね?言ったでしょう?マルクはもっと凄いのよって。ヴァンパイアにも、人間にもない力がある。純血も。混血も関係のない、神に与えられた力がね。」
地に足をつけたマルクが振り向いた。
あまりにもその顔が美しくて、息を呑んだ。
マルクがキサラに近づいて、手を差し出す。
マルク:「……。行こう。君にはすべてを話す。僕たちの力になって欲しい。」
断る理由なんか無かった。
キサラは彼の手を取り、未知の種族との関わりを持つことを自ら望んだ。
この後に苦しくも狂おしいほど愛しく切ない未来が待っているとも知らずにーーー。
純血と混血 end