第8章 餓え
マルクの父と母は偉大なヴァンパイアだったと、物心つく前にガイタスに聞かされていた。
壁に飾られたソードはその父と母が人を殺めるヴァンパイアを鎮めるために使用していたとも。
マルク:「僕は、両親のことはほぼ覚えていない。ただ、母の髪色だけは何故か記憶に残っている。」
ガイタス:「人間でも見たことがない髪色だ。あのお方の血を受け継いだお前以外のヴァンパイアでは居ないだろうな。」
マルクの髪色はグレーとシルバーがかった色にベージュがベースになった髪色は所々に金髪が混じっていた。
陶器のような肌にはその髪色がとても神聖な雰囲気を醸し出していた。
ガイタス:「さて、そろそろあの二人の様子も見に行かないとな。昔話はまた今度しよう。キサラの様子を見るのもいいが、お前も怪我をしているし、取り敢えずその服は着替えておいた方がいい。」
そう言われたマルクは、自分が怪我をしている事と所々服がボロボロになっていることに気が付いた様子だった。
マルク:「あぁ。そうする。後で僕も様子を見に―…」
「いっでぇーー!?!?」
話の途中、少し離れた部屋から聞き覚えのある声が聞こえた。
ガイタス:「先に行く!」
そう言うと素早く部屋を駆け抜けていったガイタスを目で追った後、マルクはキサラに視線を移し、彼女の頬をひと撫でして後を追うように部屋を静かに出た。
餓え end