第4章 純血と混血
キサラは差し出されたイリアの手を取った。
すると、イリアは少し離れたドアの方に手を突き出すようにかざすと、アメジストのような瞳が紅く染まった。
キィ……。と音がして静かにドアが開いた。
キサラは驚いた。ヴァンパイアはこんな力も持っているのかと。
驚くキサラにイリアは「ヴァンパイアなんて扉を開けるなんて事、出来て当たり前なのよ~。」と楽しげに答えた。
そんなイリアにキサラは焦るように言い返す。
キサラ:「扉やドアを開けるなんて事、人間でも出来るよ!」
そう言い返されるとイリアは困ったように首を傾げて「そうねぇ。それは人間でも出来るわね。」と言った。
イリア:「でも、私が今やったことなんかくだらないものよ。マルクはもっと凄い事出来るんだから。
ね。マルク?」
そう言うと、マルクが姿を現した。
マルク:「……。居たの気付いていたのか。」
イリア:「気付くわよ。貴方が生まれた時からいるんですもの。力の使い方だってよーくわかってるわよ。強すぎて勝てないけどね。もう少し手加減してくれないかしら?」
マルク:「別に強くなんてない。ただ他のヴァンパイアとちょっと違って生まれただけだ。そもそもイリアは戦いを楽しみすぎるからいけないんだろう?」
不服そうにするマルクと、楽しげに話すイリアはまるで姉弟のようだ。
その様子を見てキサラはクスクスと笑う。
キサラが笑っているのを不思議そうに二人は見た。
キサラ:「二人とも仲がいいのね。二人から感じる空気の圧が違うのは力の差だと思うけど、まるで姉弟みたいだわ。」
キサラがそう答えると、イリアがマルクに話しかけた。
イリア:「だ、そうよ。かわいい弟のマルク。」
マルク:「弟じゃない。純血が生まれる定義忘れたの?
純血同士のヴァンパイアが結ばれないと、僕は生まれてない。つまり、イリア。君とは姉弟じゃない。」