第4章 純血と混血
聞きたいことは山ほどあるが、何よりも一番聞きたいことは攫われた人達のことだ。
生きているのか、亡くなってしまっているのか。
キサラにとってはそれが今一番聞きたいことだった。
キサラ:「攫われたほかの人達は生きているの?」
イリアと名乗った女性のヴァンパイアに詰め寄るようにして尋ねた。
イリア:「自分の心配より他人を心配するのね。優しい娘ね。」
少しだけ驚いたような顔をした後、まるで美しい宝石を見たような表情でこう答えた。
イリア:「大丈夫よ。皆生きてるわ。此処ではない場所にいるけれどね。」
その言葉を聞いてキサラは安堵の表情を浮かべた。
しかし、直ぐに疑問が浮かび上がった。
何故、生きているのに街へ戻ってこないのか。何か他に大きな問題があるとしか思えない。
色々と考え込んでいると、イリアが話しかけてきた。
イリア:「これ以上は私からは話せないから、マルクからすべて聞くといいわ。貴女になら包み隠さず話してくれるはずよ。」
そう言うと、イリアが立ち上がって手を差し伸べてきた。
意味を理解できなくて、小首を傾げているとやんわりと笑って口を開いた。
イリア:「先ずは、このお城の事と、住んでる人たちのことを知らないとね。ずぅーっとこのお部屋にいてもつまらないじゃない?だから、私と一緒にお城を回りましょう!」