第4章 純血と混血
夢を見た。
お母様が居なくなって、滅多に泣いたりなんてしなかったお父様が人目も気にせず泣いていたあの頃の夢を。
これ以上は見たくなくて、キサラは飛び起きた。
「あら、ずいぶんと激しい起き方ね……?」
ベッドサイドには水を汲んでいた女性が居た。
身体ごと吸い込まれてしまうような白銀の髪にアメジストのような色の目。
まるで上品な猫のようなしなやかな動きが、視線を奪う。
「さ、お水を飲んで。すごくうなされていたから悪い夢を見たのでしょう。大丈夫かしら?」
キサラは直感で分かった。彼女もヴァンパイアだと。
しかし、マルクとは何かが違う。空気の重さに違いがある気がした。
キサラ:「貴女も、ヴァンパイアでしょう?」