第20章 アングレカムの願い事
「そんな…今、彼女は1人で耐えているのか…どうして…どうしてテンゾウと楓が今回狙われたんだ…!」
なぜ、なぜ楓が拉致をされなきゃいけない、どうしてよりによって楓が…
「陽のチャクラ……柱間細胞です。彼らの目的は僕たちが持っていた力でした。まだ彼らがどういった攻撃を仕掛けてくるかは分かりません、しかし僕たちの力があれば彼らは膨大な力を手に入れられると言っていました」
「今すぐ綱手様のところに行って状況を共有しよう」
「カカシ先輩…」
テンゾウが暗い表情を見せたあと深く頭を下げた
「本当に、申し訳ございません。僕だけが…僕だけが抜け出すなんて…」
テンゾウの声は震えていて、下げた頭の真下にいくつか雫が落ちるのが見えた
「……もう、いい。楓がそうすると決めたんだ。オレがやることは楓を必ず助ける事だけだよ。…必ず助かる。」
自分に言い聞かせるようにそう言葉を発する。
テンゾウが戻ってきたおかげで楓の居場所はわかるはずだ
「はい…。あと、その…これ…どうしてもカカシ先輩に渡してくれと、楓が…」
白く可憐に咲く花束をテンゾウは渡してくれた
「……ありがとう」
きっとこれにも楓からのメッセージがあるのだろう
見たことのない星形のように見える花を咲かせたその花束を見つめる
(綱手様に状況を説明次第イノに尋ねよう…)
「急ぐぞ」
「押忍!」