第20章 アングレカムの願い事
「楓!何をしようとしてるんだい!?だめだ!それ以上生命エネルギーを使うな!!暴走する!!」
「ほほぅ、お前の母親の噂通り、娘の方も生命エネルギーを使えるのか。だから印も結ばずに蛇イチゴを。
お前の母親は1番の成功作だったと言われていたけれど、まさかその産物の残りがここにいるなんてな。
人生何が起きるかわからないな」
うちはマダラは仮面の向こうで笑っている
「テンゾウお兄ちゃん。テンゾウお兄ちゃんは私のお兄ちゃんだから、心の底から信頼してる。
……だから、助けを呼んできて。私、信じて待ってるから。」
そういうと楓の周りに緑色のオーラが巻き付く
「あ、それとさ…」
背中を見せていた楓が僕の方を振り返る
彼女の瞳は若草色に透き通っていた
(上手く…生命エネルギーと融合してるのか…?)
「これ、カカシ先生に渡してほしいの。」
手元に星型のように見える白い花を咲かせた花束をつくり、結んでいた髪のゴムを外し丁寧に花をまとめる
スッと投げられた花束は僕の手元に乗っかった
「アングレカムだよ。ここに来る前に買ったんだけどね。帰ったらカカシ先生に渡したかったんだ。イノちゃんから種を買ってたの。
まさか直接渡せなくなるとは思わなかったけど…カカシ先生に渡しておいてほしい。多分伝わるはずだから……。
お兄ちゃん、お願い」
若草色の瞳がうるうると一瞬揺れる。瞳には雫が溜まっていた
怖がりな楓が、この状況が怖くないわけなんてない。
「残るなら僕が残る!楓が木の葉に戻るんだ!これも直接渡しなさい!」
「……テンゾウお兄ちゃん…わかってるでしょ…。
逃げ切れる可能性が高いのは、戦闘力の高いお兄ちゃんだよ。
…大丈夫、私最後まで諦めないから。
だからテンゾウお兄ちゃんも、お願い…諦めないで」
髪ゴムを外した彼女の髪はふわりとなびき、周りを花びらが飾っている