第20章 アングレカムの願い事
ナルトside
楓ちゃんはよく難しいことを言ったりする。
今日の楓ちゃんは特に最初何を言っているのかオレにはわからなかった。
ただ、目の前に彼女が作った花をみて、ひとつひとつと向き合いながら話をしていたら何故か自分の心も落ち着いていくのがわかった
(ここにある花、全部でオレ、か。)
「ナルト君、もう1人のナルト君とは向き合えそう?」
そう言って楓ちゃんが渡してきた黄色い花冠はいろんな表情の花が一つの輪っかになっていて不思議だった
(こんなの、闇を抱えたオレ自身に渡しても…な…)
しばらく手の上に置かれたそれを見つめる
なぁ、もう1人のオレ。
オレは里の奴らに酷いことをされたのに、今は笑って近づいてくるあいつらが憎いんだよな?
オレはそんなお前を消そうとしちまったんだな…
無理矢理、消そうとしちまってた。
お前もオレなのにな?
手に置かれた花冠を楓ちゃんの頭の上に乗せる
「えっ?ナルト君?これはナルト君にあげたんだよ?」
「ん。知ってるってばよ。」
なぁ、オレ。
お前もオレも入ったこの花冠、こんなに楓ちゃんに似合うんだぜ。
お前がいるくらいが、オレを強くするのかもな?
お前のおかげで今、楓ちゃん、めちゃくちゃ可愛いと思わないか?
オレはずっとここ数日葛藤していたもう1人のオレに話しかけると、
オレは自然と楓ちゃんを抱きしめていた
「えっ…ちょ!?な、ナルト君!?」
「…すっげぇ似合ってるってばよ。…本当にありがとう。」
「な、なな、なにを…」
「……えっ?オレ何してんだ!?」
「ホントだよ!どうしたの急に!」
(おい、無意識に楓ちゃんを抱きしめたのはお前だろ?!)
心の中でオレに話しかける
ずっとオレに対して闇を吐き続けていたオレがすっと消えて自分に入ってくる感覚に陥る