第20章 アングレカムの願い事
「この花ね、一つひとつが小さな向日葵みたいに主張して咲いているでしょう?
だから、この花の花言葉は“私を見つめて”なんだって。」
「お、おう…?」
「ほら、ここの子とか見て。1番下で目立たないのに、他の子に比べて凄く大きな花弁を持ってる。
こっちの子は形は歪だけど色がとっても綺麗。」
「いよいよ何が言いたいかわからなくなってきたってばよ…」
眉を八の字にしたナルト君がこちらと花を交互に見る
「ごめんごめん。さっきナルト君、こんなにオレの誕生花ちっこいのかって言ったでしょ?
この花、一つで咲くことはないの。だから今見えてる全部で一つ。いろんな形、一つひとつがオレを見てー!って主張したり、拗ねてたり、笑顔だったり。全部がナルト君なんだよ」
「うぅんと…つまり…」
「憎しみを持つのも、誰かに認められて嬉しくなるのも、複雑な気持ちになるのも全部ナルト君。全部が純粋で綺麗である必要なんかない。それがこの花の魅力でもあるの。」
そう言って自分はいくつかその花を摘む
「どうせだから、花冠作ろうよ」
「楓ちゃん…よくわからねぇって言われない?」
「…うーん…言葉足らず!ホウレンソウ!は言われるかも」
「ははっ、ホウレンソウに関してはオレもだな」
「見て、これ。めっちゃ小さいナルト君」
「その花見て全部オレって言うのやめてくれってばよ。もうチビじゃねぇし。」
「どんなナルト君も綺麗だよってことなのに」
「…この花は楓ちゃんみたいだな。」
「ええ?これは全部ナルト君だよ?」
「いや、オレの心の中にも楓ちゃんはいるってばよ。これは一番花びらがふんわりしてる。楓ちゃんがさ、振り返る時の雰囲気ってこんな感じなんだってばよ」