第20章 アングレカムの願い事
「嫌味で言ったわけじゃないんだよ。もう、ナルト君だけが頑張る必要ないよって言いたかったんだ。」
「楓ちゃん…それってどういう…」
きっと、ナルト君のこの浮かない顔はナルト君自身の葛藤から来るものなんだろうとここにきてから感じていた
ペイン戦が終わってから目まぐるしく復興が進み、木の葉も大きく変わったが
もう一つ、ナルト君に対する里の反応も大きく変わっていたからだ
「木の葉の英雄、ナルト様。なんちゃって、ね?
私少しだけ、手のひらを返したみたいな人たち、嫌だったの。もし違ったらごめんね。ナルト君は周りの変化に悩んでるのかなって思って。」
「な…なんでそれを…」
「わかるよ。私は木の葉の里で生まれた人間じゃないから、ここに逃げてきた時ナルト君に対する里の反応がなんであんなに冷たいのか、疑問で仕方なかったの。
一緒の班になったらたくさんナルト君と関われてどれだけ素敵な人かも知れた。
ただ、なんていうのかなぁ?今の里のみんなを見るとさ、昔はナルト君に対して酷いことしてた人まで英雄様〜!とか言ってるんだもん。
私のがナルト君の素敵なところ最初から知ってたんですけどー!って気持ちになっちゃって。」
少し恥ずかしくなって、それを隠すように私は川の横のじゃり道に座り、石を川に投げながら話す
ザッザッとじゃり道を歩く音と共にナルト君は隣まできて、横を座った
「オレ、修行で精神統一しなきゃなんねぇ時、もう1人のオレがでてきてさ。
なんであんなに辛い思いしてきたのにって、オレはオレ自身と喧嘩をしたんだ。どうやったら、もう1人のオレが…納得してくれるのかなって。今の状況を受け止めてくれるのか、わからなくなっちまった。
でもあいつとオレは和解しないと前に進めねぇんだ。」
「うん。」
「あいつらはオレのことをずっと邪魔者扱いしてきたくせに、今更手のひら返しやがってって…オレが言うたび、そうだよなって思う。
でもやっと認めてもらいつつあることも嬉しいオレもいる」
「…うん。」