第9章 私の居場所
テンゾウside
ナルトに見られていたのはだいぶ恥ずかしい。
そもそも僕は楓を撫でるときどんな顔をしていたのだろう
(あぁ、もう、僕は楓の先生なんだから…気を引き締めないと…)
「な、ナルト、それは誤解だって……はぁ、もう。楓、なんとか言ってくれよ…」
とりあえず誤解を解こうと楓に助けを求める
「ふふっ、楽しいね。私、テンゾウお兄ちゃん、大好きだよ。」
「えっ、ちょ、楓!?Sなの!?君はドSなの!?」
楓はからかってなのか、ナルトがまた騒ぎそうなことを言ってくる
しかし内心、楓から初めて抱きついてきてくれたことも、
冗談でも好きだと言ってくれたことが、嬉しくて嬉しくてたまらない。
(まぁ、僕は入る隙もないですけどね、先輩…)
自分に対する楓の好きが、僕の求めているものではないことくらいとっくにわかっている。
(それでも喜んでしまう自分が情けない…)
「キャー!ヤマト隊長、不純〜!……ってサクラちゃんに言われるってばよ!」
下手すぎるサクラの真似をしてナルトが騒ぐ
「なんでカカシ先輩はそう言われないのに僕はそう言われるんだい…困ったもんだ。」
「えっ?なんの話?カカシ先生、不純なことしてるの??」
“カカシ”の言葉を聞くなり楓はすぐに話に入ろうとしてくる
「楓ちゃん、大丈夫だってばよ、カカシ先生は一途でピュアピュアだ!」
「カカシ先輩がピュアとか、そんな歳でもない気がするけどね…って、ちょっと待って?その物言いだと僕が一途じゃないみたいじゃないか」
「えっ!?ヤマト隊長本当に楓の事…!?」
「え?え?2人とも、どういう事?」
話についていけない楓と、勝手に盛り上がるナルト
「ナルト、僕は頭を撫でてただけだろ、もう勘弁してくれよ…」
(まぁ僕も、気づけば一途だったんだけどさ…)
間違ってはないけれど、
この気持ちを誰かに悟られて、気を遣わせるのは嫌で。
僕はただ、今目の前にいる楓が幸せになるのなら、そう思っていた。