第9章 私の居場所
「…くしゅん。」
小さなくしゃみをするとあたりはもう暗くなっていることにきがついた。
「そろそろ戻ろうか」
サイは先に立ち上がって、手を差し出す
ふわりと髪が浮くような、
心地よい風が吹く
暗くなっていても、サイの白い肌は目立っていて、そしてほんの少しだけ、頬が赤くなっている気がした
「ありがとう」
(別に一人で椅子から立つことくらいできるのに、サイは過保護だなぁ…)
そんなことを思いながらサイの手を取ると、そのままサイは手を離さず歩き始めた
(…ん?……え?ちょっとまって、え、???
そ、そういうことだったの?!?)
立ち上がるために手を差し伸べてくれたのかと思ったのに、
サイは歩きながら手を離さずしっかり握ってくる。
(こここ、こんなところ他の人に見られたら…!勘違いされちゃうよね…!?)
万が一わたしが恋人だなんて噂が流れてしまったらと思うと、本当に本当に申し訳ない
(いやいや、待てよ?でもサイが手を繋いできた…?
いや、でも!手を取ったのはわたしだよね!?
わーーーー!どうしよう!!)
あたふたしてたら手汗が出てきている気がする
(うわぁぁぁーーー、汗かいてるよ、絶対わたしだよ…!)
横目でサイをみるとそんな私の心の中をまったく気づくことなく、前を見て歩いていた。
「で、でも、サイだってちょっとほっぺ赤いし〜…」
なんだか悔しくなって、ボソッと呟くと
ん?とサイが振り返ってきて、さらに照れてしまうのだった。