第9章 私の居場所
「うぅ…ごめん、サイ…話、途中なのにっ……」
目の前が暗くなるとまたサイに私は抱きしめられていた
「でも…もう次は失わないよ。
兄さんがいてくれたから、今の僕がここにいて、守りたい人がここにいるんだ。」
「えっ…?」
「楓、僕は…
君がいなくなると思ったら、気が気じゃなかったんだ。
君が現れたら僕は自分が考えるより先に君を抱きしめてた。
君たちのいう、サスケ君みたいに…
僕はもし、楓に何があっても楓を守りたいし助けたいんだと思う。」
抱きしめられていてサイの表情は見ることができないが、
冗談ではないことくらいはわかる
「サイ…」
「僕はサスケ君を…、暗殺するために七班に入ったんだよ」
「えっ!?」
とっさに顔を上げるとサイは表情を変えずに続ける
情報過多で頭がついていかない
「安心して。殺さなかった。無理だったんだ。
必死なナルト、サクラを見て、自分がやっていることが間違っている気はしていた。
でも、それに違和感は感じてなかったんだ。
それが楓が殺されるかもしれないって気づいてから、難しくなって…
自分の中でいつのまにか大事な人ができていたんだ。
感情は殺したはずだったのに…
それでわかった。
サスケ君は、僕にとってはなんでもない人だった。
でも、僕の仲間の大切な人なら、僕にとっても大切な人なんだ。
僕はダンゾウ様に楓を殺されたとしたらきっとダンゾウ様を憎んだと思う。下手したら殺してたかも。
自分も同じことをしようとしてたのにね。」
皆、大事な人がいて、大事な人を失うと、大事なことが見えなくなるんだと思った。
私がヒマリを失った時、ヒマリの分も頑張らなきゃって思って、彼女の死を無駄にしないように、最終試験を受け入れた。
私はヒマリの人生を歩むことはできない。
ヒマリになることもできない。
ヒマリがなにをしたかったのかも、全部はわからない。
でも、
私にとって大事だったヒマリが、あの、優しくて、可愛くて、大好きなヒマリが…私の不幸を願うことはないと思う。