第9章 私の居場所
「それで、楓は根はやめることにしたの?」
一頻り笑い終えるとサイは私に聞いてきた
「うん。やめることにしたよ。最終試験も、見たし、私もやったんだ。でも失敗しちゃった。」
ヒマリの死も、
カカシ先生を傷つけてしまったことも…
「え??失敗…って?楓はここにいるのに」
「サイの言ってたこと、わかったよ。私は根に向いてる人じゃなかったのかも。
大好きな人が目の前で死んで、何もできなかったの。
サイは、サイはこれを乗り越えたのかなって思ったら…サイはすごいよ。」
そもそも、根に入ったことも、失敗だったのかもしれないとさえ思ってた。
「楓…」
「でも、大好きなお友達ができた。
根に行ったからできた。彼女の人生を私は歩むことはできないけど、
彼女の分も生きることができるから…。
まだ…思い出すと、辛いんだけど…」
サイは真面目に聞いてくれていた
「僕も、失ったんだ。根で、兄さんを。
目の前で死んだ。僕もなにもできなかった。でも…」
サイが話している途中、いろいろな気持ちがこみ上げてきて涙が出てきてしまう
「ごっ…ごめっ…勝手に涙が、」
袖で目をこすって涙を止めようとするものの、
止めようとすればするほど溢れてきてしまった