第9章 私の居場所
しばらく見つめあっても不思議と気まずい空気にはならず、ふと、サイがあのバレバレの作り笑いをしていないことに気づいた
「サイ、変わったね。」
「そうかな、僕は楓も変わったと思うけど。」
「今の表情のが絶対いいもん。」
「楓は可愛いよ。」
「えぇ!?なに、急に!」
ほど良いテンポで会話をしていると、急に爆弾が投げ込まれる
「サクラにブスって言ったら怒られたんだ。だから褒めてみたんだけど…」
(さ、サクラちゃんにブス!?なんでサイが今生きられているのか…)
想像するだけで血の気が引く
「ってか、え!?まって、それ酷くない!?可愛いって思ってないじゃない!」
ははっと笑うサイがいる
「もー!ひどい!」
ぷーっと、顔を膨らませるとサイが細い腕を上げ、髪をくしゃくしゃに撫でられた
「楓、よしよし。」
「あーーー!もー!バカにしないで!もー!もーもーもー!!」
目の前にいるサイは前のサイと全く別人のようだった