第9章 私の居場所
一楽からの帰り道、先に沈黙を破ったのはサイだった。
「ねぇ、僕の勘違いならいいんだけど、楓、君もしかして僕を避けてる?」
「へ??」
思わぬ質問に変な声を出してしまう
「さ、避けてないよ…!」
「でも、いつもはずっと君が話してくるのに今日はずっと無言だったから…」
寂しそうな顔をするサイを見て、なんで返せばいいのか迷ってしまう
(ちょっとだけ、ドキドキしたからなんて言えない)
「あの、ね…突然で、びっくりしちゃったというか…」
(もー!思い出すと顔から火が出そう!!)
「びっくりした…?何を?」
私の思いとは裏腹にきょとんとする彼を見ると
サイは空気が読めない、というより超鈍感なのだろうかと、少し驚く。
「急に!サイが!…私の事、ぎゅーするから。びっくりしたの。」
多分真っ赤になっているだろう自分の顔を見てやっと理解したのか、サイも気まずそうに目線を逸らした
「あぁ、それか…。ごめんね、ちゃんと話すよ。」