第9章 私の居場所
帰宅し買い出しの荷物を置いて軽く掃除をすると、空はオレンジ色に変わっていた。
「一楽でラーメン!そろそろ行こうかな〜」
根を辞めて、私は自分の家に戻って生活をしていた。
正直根にいる頃は家に戻れる時間はなく、養成所で過ごしていたからだ。
この家にはいくつも思い出がある。
小さな花瓶に入った桃色の花は、ヒマリと摘んだ花。
私は今だに彼女の死を受け止めきれず、
萎れては術をかけ、今でも花は綺麗な桃色だ。
(こんなことしても、ヒマリは戻ってこないのにね。)
残しておかないと、
自分の記憶から、ヒマリが消えていくのがこわかった。
辛いことばかり思い出されるけれど、
ヒマリといた時間は全て素敵な時間だったから…。
(あぁ!ほんとにもう行かないと!)
私は急いで靴を履いて一楽に向かった。