第11章 徘徊×ノチ×再開
「エッダ姉様。この座席の場所を知りませんか?」
「ああ、それならこっちだ」
姉様に着いて行くと、廊下の突き当たりにある部屋の前で止まった。
「その番号の部屋はここだ」
あれは座席番号ではなく、部屋番号だったのか。
チケットと一緒に渡された鍵で部屋を開ける。
「それにしても、良くファーストクラスのチケットが買えたな」
「ハンターライセンスを持っんぐッ!?」
「シッ!」
姉様は片手で私の口を塞ぎ、たった今開けた部屋に入って直ぐに鍵を閉めた。
「ニーナも受けたんだな、ハンター試験!合格おめでとう!だが、無闇にハンターライセンスを所持していると声に出すな。いいな?」
「は、はいッ」
そうだ、忘れてた。
ハンターライセンスを狙う輩が多いから、注意する様にと講習で言われたんだった………ん?
___“も”受けたんだな…
と言う事は、
「察しの通り、私もハンターだ」
さすがエッダ姉様だ!
「何か頼もうか。お茶しながら話そう」
「はい!」
エッダ姉様は部屋に備えてある機械を操作し、独りで話し始めた。
しばらくすると、部屋の扉を叩く音。
姉様が中へ招き入れると、その人は机に様々な食べ物を並べ始めた。
それは色鮮やかで、部屋を甘い匂いで満たしていく。
お辞儀をして出て行く人を見送った後、エッダ姉様は私に笑いかけた。
「遠慮せずに好きなだけ食べて」
「はい!」
姉様の向かいの椅子に座り、早速食べ始める。
甘くて美味しい。
故郷では蜂蜜ぐらいしか甘い物がない上に、いつでも食べられる訳ではない。
ので、甘い物には常に飢えている状態だ。
初めて綿菓子を食べた時と同様に、美味しさに感動しながら平らげていく。
「……ニーナ。私がなぜ故郷へ帰らないのか……知りたいか?」
不意に問いかけられ、手を止めて姉様へ視線を向ける。
知りたい……
けれど、姉様の顔が精気を失った様に曇った。
聞くのが少し怖い。
話すのが辛いのなら、無理して話して欲しくない……