第27章 狙ッテ×走ッテ×捕マエテ
飛行船から降りて来たビーンズさんに向かって手を振る。
『ビーンズさん!』
笑顔で手を降る私とは対照的に、ぷんぷん!といった効果音が聞こえてきそうな表情と歩き方でこちらに近づいてくる。
「『ビーンズさん!』じゃないですよ! ちゃんと深夜0時に甲板で待つように注意書きされてたじゃないですか!」
ハンター協会から届いたあの書類にそんな大事な事が書かれていたのか。
これは読んでないなんて言ったらさらに怒られそう…
『寝過ごしちゃいましたごめんなさい!』
素直に謝罪。
「受験生達を手助けしたりは『してないしてない!』」
それなら良いのですが…とビーンズさんはそれ以上なにも言ってこなかった。
「ニーナ さんには引き続き4次試験で係員をお願いするので、それまで飛行船でお休みになって下さい」
4次試験って何をするんだろう?
ぼんやり考えながら飛行船へ歩き出した時、クラピカに呼び止められた。
「ニーナ、この手当君がしてくれたんだろう? ありがとう。 服を裂かせてしまってすまない」
破けた服を申し訳なそうに見つめるクラピカ。
『そんな気にしないで! クラピカ達のお陰で私も生き残れたんだし』
クラピカやハゲ……ンゾーが皆んなをまとめて導いてくれたお陰で今私はここにいられるんだから、服ぐらいどうってことない。
あのまま軍艦が動かなかったら私も今頃海の藻屑となっていた。
『4次試験、応援してるからね! 私もなんかやるっぽいからお互い頑張ろ!』
クラピカは目を丸くして一瞬キョトンとしたがクスクスと笑い出した。
「あぁ、お互い4次試験を頑張ろう」
変なこと言っちゃったかな? あ、係員の私が頑張るっていうのはおかしな話かも……恥ずかしい!
けど、笑ったクラピカの笑顔可愛いじゃん。