第11章 徘徊×ノチ×再開
無事空港へ到着。
男は親切にチケットの買い方も説明してくれた。
「ご親切にありがとうございました」
お礼を述べ、お辞儀をする。
「どういたしまして。天空闘技場は遠くからでも見えるから、向こうの空港に着けば直ぐに分かるよ」
もう一度お礼を述べた後、男は微笑んで来た道を戻って行く。
赤の他人なのに、親切にしてくれた男を手ぶらで帰らせるのは申し訳ない。
「あ、あの!」
「?」
感謝の気持ちとして、
「これ、どうぞ!」
「え、あ、ありがとう……」
先程市場で買った3つの芋を差し出した。
この芋はくじら島で何度か食べた事があり、とても美味しい。
ので、是非食べて欲しいと思った。
「芋を貰ったのは初めてだ……」
「蒸してそのまま食べても美味しいのですが、肉と一緒に煮込むとより美味しいですよ!」
「ありがとう、今日の夕飯にするよ。それじゃ」
笑みを浮かべて去って行く男を見送る。
芋があまり好きじゃないのだろうか……
私だったら、大喜びするのに……
外の世界の人間が、お礼として何を貰えば喜んでくれるのかを調べておかないと。
「今日出発のチケットを1人分お願いします。料金はこれで払えますか?」
カウンターの女性へハンターライセンスを差し出す。
それを見た彼女はニコッと微笑んで頷いてくれた。
「ファーストクラスをご利用いただけます」
ふぁーすとくらすが何を意味するのか分からないが、お金が不要で助かった。
後問題なのは……
「あの、食べ物とかもこれで買えたりしませんかね……」
恐る恐る聞いてみる。
「ファーストクラスで乗船されるお客様は、食事などを含む船内のサービス全て無償で利用いただけます」
素晴らしい。
これで餓死を免れる。
チケットと用途不明の鍵を渡された。
乗船時間になり、乗客達が次々乗り込んでいく。
皆チケットを見て自分の席を探していたので、私も自分のチケットを見た。
記号と数字が記載されているが、これでどうやって自分の席を探せるというのか。
悩んでいる間に席は全て埋まってしまった。
私の席は別の場所なのだろうか。
飛行船は3階構造になっており、現在いるのが一番下の1階。
2階へ移動すると、食事処や談話スペースなどしか無かったので、3階へと移動した。