第10章 合格?×不合格?×最終試験
「そういえば、ニーナさんはどんなハンターを目指すおつもりなんですか?」
ビーンズさんからの質問で、視線が私に集まった。
まったく分からない。
どんなハンターになりたいかなんて考えた事もなかった。
返答に困っていると、
「ほっほっほ。彼女はその齢で初めて故郷を出たんじゃ。決めるにはまだ時間が必要じゃろ」
「そうなんだ!どこ出身なのォ〜?」
ズーリィは興味津々で聞いてきたが、
「申し訳ありません。故郷の場所をお教えする事は禁じられてまして…」
皆、「なぜ?」と聞きたそうな表情を浮かべている。
私もなぜ故郷の場所を秘密にしなければならないのか知らない。
その事を話すために、まず自分がアマゾネスである事を話そう。
「私、アマゾネスという民族で……」
「なるほど、だから教えられないのですね」
「納得だよォ〜」
私がアマゾネスと知って、ズーリィとロボスは納得している。
アマゾネスについて知っているのだろうか?
「アマゾネスの居住地は、極秘指定地として登録されていて、プロハンターでも場所を調べる事が制限されているのです」
疑問に思っていた事をビーンズさんが説明してくれた。
そういう事だったのか。
しかしなぜこうも隠さなければならないのか。
今までは、なんの疑問も抱かなかったけれど………
「謎の多い民族じゃから興味があってな。せっかくの機会じゃ、話を聞かせてくれんかの?」
「はい!」
私は皆に、故郷でどのように生活していたのかを話した。
外の世界で生活出来る様に、あらゆる国の言語や文化を学んだ事。
私は良く調理場へ忍び込むためにサボっていたが、これは言わないでおこう。
もちろんドラゴンとの訓練も話した。
案の定、皆が一番興味を示し、一番大笑いした。
一番豪快に笑っていたのはズーリィ。
アルトゥール並みの奇声で笑いながら机を叩いている。
“皆”と言ったが、ビーンズさんだけ「大変な訓練だったのですね……」と同情してくれた。
あの命懸けの訓練も今となっては笑い話、良い思い出だ。
こうして皆と仲良くなるきっかけ作りになっているのだから。
骨を砕かれて良かったのかもしれない。
……………いや、やっぱり全然良くない。
それからは、飲めや歌えのどんちゃん騒ぎが続いた。
騒いでいたのはアルトゥールとズーリィだけだったが……
