第10章 合格?×不合格?×最終試験
さて、これからどうしようか。
くじら島へ行こうと思っていたが、所持金が少ない。
これでは、
芋を3つしか買えないッ……!
死活問題だ。
お金を稼ぐために天空闘技場へ行ってみようかな。
ハンターライセンスを所持している今なら、飛行船を無料で利用出来るはず。
まだ外も明るいし、行動するにはちょうど良い時間帯だ。
これからの事を考えながら部屋を出ようとした時、
「そう急ぎなさんな」
「え?」
「これから合格者を祝うパーティが開かれます。ご馳走も用意されてますので、是非ご参加下さい」
ご馳走………だとッ!!
「はい!」
これは行くしかない。
パーティが行われる会場へ案内されると、そこには期待していた以上の豪華な料理がずらりと並べられていた。
「遠慮せず、好きなだけ食べなさい」
「はい!!」
もちろんそのつもりである。
「それでは皆さん、最後の日を存分に楽しみましょう!」
ネテロ会長、ビーンズさん、試験官3人、私の計6名だけだったため、皆で同じテーブルを囲んでお喋りする事になった。
「今年の唯一の合格者がルーキーとは驚いたァ〜!なー!ロボス!」
「………」
出来上がっているアルトゥールが酒瓶を片手に、隣に座るロボスの顔を覗き込んで笑っている。
「ヒィ〜ヒッヒッヒ!」と、奇声に近い笑い声を発しているアルトゥールの存在を無視し、ロボスはネテロ会長に話しかけた。
「会長、この様な事は以前にもありましたか?」
「うむ。唯一の合格者がルーキーだった年は他にもあったのォ。合格者が0の年もあったぞい」
合格者を出さない時もあるんだ。
なら、私は幸運だな。
あんな事件があったにもかかわらず、こうして合格出来たのだから。
「あの66番のヒソカって人は確実に合格すると思ったのになァ〜。ダンスも凄く上手かったからクルックに紹介してあげようと思ってたのに……」
ズーリィは残念そうに言っているが、これで良かったんだと伝えたい。
あんな変態を紹介されたら相手が気の毒だ。
そんな事を考えながら、大きな骨付き肉を手に取る。
こんな豪華な肉は滅多に食べられないので、胃袋に出来るだけ多く押し込んでおこう。