第1章 初メ×ノ×始メ
死ぬ。
そう思った瞬間、何かに吹き飛ばされた。と同時に激痛が右半身を襲った。
「ニーナ!!」
「おい馬鹿ニーナ! しっかりしろ!」
「だ、いじょう、ぶ…うっ……?」
ドラゴンの尾に投げ飛ばされたのだろうと思ったが、横に見覚えのある武器が転がっていた。
隊長のメイスだ。…え?隊長の、メイス?
「殺されそうになった者は、今の様に助けてやるから安心しろ!」
そうか、隊長が飛ばしたメイスに投げ飛ばされて助かったのか。成る程…ってちょっと待って!!
「隊長私を殺す気ですか!? 右腕逝っちゃったんですけど!?」
激痛に腕も動かせないことから判断するに、右腕の骨は粉砕されただろう。隊長のメイスに。
「腕一本で済んで良かったな。 隊長のメイスに飛ばされてなかったら、今頃ぺしゃんこだったぞ」
ジェンの言葉に血の気が引くのを感じた。
「ニーナ負傷により、貴様らの訓練は続行不可! 日を改めてもらう! 」
「さあ、捕まって」
セラが私の左腕を掴み、肩に回して立つの支えてくれた。
檻から出た私達は観戦席には行かずに、救護部屋がある家屋へと向う。
「ごめん……2人とも」
「え?」
「は?」
「私のせいで訓練、やり直しになっちゃって」
2人は一生懸命やったのに、私のせいで無駄になってしまったことが申し訳なかった。
「弱いから負けた。 それだけのことだ」
「うっ」
分かってはいたが、こうはっきり言われるグサッとくる。
「ニーナは悪くないよ! 私だって、ジェンが居なかったら攻撃できなかったし、それ以前に無傷ではいられなかったよ」
「その通り。 お前ら2人は弱い。 だから、私が隙を作らなくても自力で攻撃できるまで……付き合ってやらんでもない…」
「「……え?」」
「だから! 強くなれる様に手助けしてやらんでもないって言ってるんだ!」
「「……え、ええぇえぇえ!!!」
あの一匹狼のジェンがこんなことを言うとは夢にも思っていなかった私とセラは、失礼ながら驚いてしまった。