第1章 初メ×ノ×始メ
私達と共に檻の中へと入った隊長は、再びメイスを地面にめり込ませて訓練の開始を叫んだ。
「散れ!」
「「!?」」
ドラゴンに圧倒されたまま動けずにいる私とセラにジェンが叫ぶ。
ジェンは叫ぶと同時に既にドラゴンの後ろへと回り込んでいた。
円形状の檻の周りには観戦席が設けられており、他の子達はそこから私達の訓練を観戦している。
ジェンの叫び声で我に帰った私とセラは直ぐにその場から走り出した。
ドガッ!と後ろから地面の割れる音がし、振り返るとさっきまで私とセラが居た場所にはドラゴンの手が地面に食い込んでいた。
観戦席から僅かな悲鳴も聞こえた。悲鳴を上げたいのはこっちだ。
「あっぶねー!! 死ぬかと思ったぁ〜」
「無駄口をっ……叩くなーー!」
「……えっ!?」
そう叫ぶと同時にジェンは天高く飛び上がり、そのままドラゴンの背後からかかと落としを食らわせた。
悲鳴を上げていた観戦席の子達もジェンの勇姿に今度は歓声を上げている。
「よくやったぞジェン! その調子で後の2人も続け!」
と、隊長は簡単に言うが……
「むーりぃいいぃ!!」
「うわぁああ!!」
ドラゴンの攻撃を交わすので精一杯だ。
「私が奴の気を引くから、お前らは隙を見て攻撃を仕掛けるんだ!」
ジェンにそう言われて、セラと共にドラゴンに隙が出来るのを待つ。
「っここだ! はっ!」
セラは上手く隙を見つけてドラゴンの後ろ足へと蹴りを入れる事に成功した。
「良くやったぞセラ! 残るはニーナだ!」
「隊長、プレッシャーをかけないで下さい!」
「バカッ! そっちはダメだ!!」
一瞬の出来事だった。
ドラゴンの前足からの攻撃をかわしたまでは良かったが、その攻撃を回避した方向が悪かった。
「っ!?」
急に暗くなったことに気づいて頭上を見上げれば、ドラゴンの尾が今にも振り下ろされる寸前だった。