第1章 初メ×ノ×始メ
結局、第一回の対ドラゴン訓練をパスできた組は無かった。
同じ組の中で1人か2人しか攻撃出来ずに残りが恐怖で戦闘放棄をしたり、私の様に隊長のメイスに骨を粉砕されて戦闘不能になったりで。
「訓練はまた日を改めて行うみたい。 その間、各組でドラゴンを倒せるための自主訓練をするようにって」
「え〜」
「めんどくさそうな顔をするな馬鹿ニーナ」
「だってさ〜ドラゴンなんて無理だよ〜」
「そうやって思っている時点でお前はもう戦いに負けている。 己を恥じろ」
「うっ」
初の訓練で多数の戦闘不能者が出たため(母様達の話によれば毎度のことらしい)しばらく訓練は各組で行うことになった。
しかしなぜドラゴンなのか、戦闘未経験にいきなりドラゴンとかハードル高すぎではないだろうか?
そんな疑問を口にすれば、ジェンに「は?それ本気で言ってるのか?」と言いたげな、小馬鹿にした表情を向けてきた。
「訓練でドラゴンが相手なのは、私らの攻撃を唯一受けても即死しないからだ」
「へ? どゆこと?」
「私達アマゾネスは力が強いから、他の魔獣が相手だと訓練にならないのよ」
「え、そうなのか? てか2人はなんでそんな事知ってるんだ?」
「考えれば分かる事だ」
「考えても分からないから聞いてるんだ」
はあ、と溜息を吐いたジェンだが説明をしてくれた。めんどくさそうに。
「なぜいきなりドラゴンが相手なのか。それは、ドラゴンが唯一一筋縄では倒せないからだ。 皮膚は硬く力も強い、おまけに知能も高いからこちらの不意を突いてくる。 他の魔獣は知能が高くても脆弱だったり、知能は低くても身体は丈夫なやつがいるが、どちらも状況判断さえ間違えなければ敵ではない。 つまり、ドラゴンさえ倒せれば良い訓練になり、強い事が証明されるという事だ」
「ほーなるほど。 てかなんでそんなに情報もってるんだよ!私達まだ一回も村の外に出て戦ったことないじゃん」
「暇さえあれば肉や芋をくすねに調理場へ忍び込んでいたお前とは違って、こっちは姉様達に色々と教えてもらってたんだ!」
「だからあんなに動きが良かったのか!」
「そうだ、そしてお前ら2人にもみっちり詰め込んでやるから覚悟しとけよ」
「「はーい!」」
ジェンと組めて良かった、と心の底から思うニーナとセラでした。