第9章 新しい玩具
気配を消して尾行する。
待ち伏せ作戦で捕まえるつもりか。
数十分後、獲物が現れた。
タイミングを見計らって勢い良く飛び出すニーナ。
なかなか良い動きだ。
「やったー! ウサルーゲット!」
無事にゲット出来て無邪気に喜んでいる。
なんて無防備なんだ。
その獲物を狙っている男の存在に気付かないなんて。
「うっ!?……な、いっ…た」
「悪ぃな嬢ちゃん。 こいつは貰ってくぜ? あっはっはっはっは!!」
男に気付くことなく、あっさり背後から攻撃されるニーナ。
あんなに良い動きをしていたのに、こんなあっさりヤられるなんて……
頭のネジが5本ぐらい外れてるのかな?♠︎
「………ぅ、うぅあ"あぁあぁ"!!」
突然彼女が怒りに任せた叫び声をあげた。
叫び声、というよりは獣の咆哮。
「かぁ"えぇ"せええ"ぇえ"ーーッ!!」
オーラの量が増大している……!? 無意識か?
彼女は明らかに素人だ。
なのになぜ?
彼女が突き出した拳は男を捉える事はなかったが、代わりに背後の木を粉々に吹き飛ばした。
「す、すす、すまなかった!どうか、どうか命だけはた、助けてくれぇ!!」
男の命乞いに耳を傾ける事なく、彼女は拳を振り上げる。
このまま男が死んでも構わない。
けど、彼女を今止めないと、
ボク自身が抑えられなくなってしまう……❤︎
バンジーガムで動きを封じ、彼女の前に回り込む。
「そんなに目を血走らせて、それじゃあサル以下になってしまうよ?♦︎」
「ヒ、ソカ」
「!」
あァ、原因はコレか。
普段の彼女と違うモノ。
ボクを見上げたニーナの、
…………燃えるような緋い目!
これは興味深い♦︎
「ハイこれ❤︎」
「え? どうして…」
目線を合わせる様にしゃがんでウサルーを差し出す。
「君が捕まえた子だよ」
しかし、ニーナはなかなか受け取ろうとしない。
彼女にもプライドというものが存在するみたいだ。
「今合格すれば、残りの1時間は別室で自由に過ごす事が出来る。そこでイイ物をあげよう❤︎」
「良い物!?」
そこで、彼女の単純さを利用して物で釣る事にした。
「ありがたく頂戴します」
「いいコだ❤︎」
本当に単純で扱いやすいコだ♣︎