第1章 初メ×ノ×始メ
食事は、村の中央にある家屋で約150人の村人全員で共に取る。
そしてこの日は、姉様達が村を発つため食事はいつもより豪華で、旅立ちの儀も行われる。
私達アマゾネスは全員女であるため、村に居ては子孫を残すことはできない。
ので、妙齢のアマゾネスは村を出て、己に相応しい男を探しに世界を巡る。
相応しい男というのは、己よりも強い男である。
めぼしい男を見つけたら片っ端から戦いを申し込む。
己が負ければ相手の子を授かれるよう付き纏う。しかし、己が勝てば相手を殺す。
無事懐妊してすぐ帰ってくる姉様もいれば、何年経っても返ってこない姉様もいる。
アマゾネスはより強い子孫を残すために、己よりも強い男を探す。己の現状の力では敵わない相手を。しかし中には、己の敗北を恥じて自害する姉様も少なからず存在する。
婆様が言うには、自害や相手との戦闘による死亡だけではなく、もう一つ返ってこない理由がある。
それは___
「ほらニーナ! 約束の芋だ!」
「!?」
「芋」というパワーワードに反応すると共に、反射的に自分の皿にある肉を腕でガードするように隠す。
「そんなに警戒しなくても肉を取ったりしないって」
エッダ姉様がそう言って笑うと、周りにいた人達も「さすが村一番の大食い!」や「やっぱ食い意地が張ってんな!」と笑い始めた。
「今度いつ会えるか分からんからな、可愛い妹へのプレゼントだ」
「あ、ありがとう!」
エッダ姉様から貰った芋を直ぐに食べ始める私を周りは暖かい表情で見つめた。
無事に返ってくるかも分からない、最後になるかもしれない姉様達との時間を楽しみ、いよいよ別れの時が来た。
村の入り口で婆様の周りに34人の姉様達が集まっている。
「お主達の最初の試練はこの魔境を抜ける事だ。例え魔境を抜ける事ができてもその先にはあらゆる試練が待ち受けているだろう。命を落とす者もいるだろう。しかし、例え死が待ち受けていたとしても、最後まで強く、逞しいアマゾネスであれ!よいな!」
「「「「はっ!」」」」
見送りに来ていた見物人は激励の言葉を叫んで姉様達を見送った。また会える日を楽しみに。