第4章 奇怪×ナ×奇術師
この中で1番殺気を放ってるのはヒソカだった。
喧嘩を売られているのは彼らの方か……
「番号札をどうぞ!」
「あ、どうも……」
小柄な男?に番号札を手渡され、ヒソカを見つめる。
ヒソカは手渡された番号札を自身の左胸に着けていたのでそれを真似て自分のも付けた。
「まるで人間の真似をするサルみたいだ♣︎」
「〜〜〜ッ!」
一言ガツンッと言ってやりたいが真似してるのは事実なので何も言い返せない。
「そういえば、この番号札は何を意味してるの?」
「ここに着いた順番だろうね」
「へ〜」
私の番号は65番でヒソカが66番だった。
殺風景な部屋の中で特にする事もなかったので、隅で大人しく座っている事にした。
ヒソカはというと、「他の受験生に挨拶してくる❤︎」と言い残してどっか行った。
「はぁ……」
綿菓子も食べ終えて、膝を抱えてボーッとしていると小太りの男が近づいてきた。
「よお! 君、新顔だね?」
「え、あ、はい…」
ここにいる受験者は他人と関わろうとはしない。
むしろ近づくなと無言の圧力を周囲に振りまいている。
そんな中、急に話しかけてきた男に嬉しさよりも不信感を抱いてしまった。
「そんなに警戒しないでくれ、オレはトンパ。 ハンター試験はもうかれこれ34回受けてるから、先輩としてアドバイスでもしようと思ってな」
「そうだったんですか。 わざわざありがとうございます」
もうそんなに受けてるんだ。 受験番号も15番でここには早く着いてる。
結構なやり手なのか?
……………いや、違う気がする。
「まあ、まずはお近づきのしるしに…」
トンパは荷物袋から何かをゴソゴソと探っている。
筒状の物を2つ取り出すと、1つを私に差し出した。
「お互いの健闘を祈ってカンパイだ!」
「ありがとうございます!」
トンパを真似て蓋を開け、口に運ぼうとした瞬間だった。
ドスッと手元に衝撃を感じた。
「え?」
手が濡れたような感触。
手元を見ると、何か刺さっていた。 飲み物に。
「な、何これ!?」
私はトンパに詰め寄るが、本人も訳が分からず困惑している。
「それ、ボクも欲しいな❤︎」
「ヒ、ヒソカ!? これ、あなたがやったの!?」
あの不気味な笑みを浮かべて近付いてきたヒソカ。
その手元には、私の飲み物に刺さっている物と同じ物が。