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覇者×ト×敗者

第4章 奇怪×ナ×奇術師


合言葉を聞いたピエロに案内されたのは、迷いの館の中にある、鏡の間という部屋だった。
部屋の中には所狭しと迷路みたいに鏡が並べられている。

「これが鏡なの!? 初めてみた〜! これって私だよね!」

姉様から鏡という物について聞いていたが、これがそうなのか!
話の通り、完璧にこちらの動きを真似てくる。

「………キミ、森の奥深くにでも住んでたのかい?」

「うん! 故郷(森の奥深く)を出てまだそんなに経ってないよ!」

「………そう。 道理で田舎臭いと思ってたんだ❤︎」

あれ? 今ちょっとバカにされた気がする……

「ほら、早く来ないとはぐれちゃうよ?」

「あ! 待って!」

迷路みたいに入り組んでいるここで迷ったら笑えない。
手招きしているヒソカの方へ駆け寄る。

「んがッ!?」

一瞬何が起こったのか理解できなかった。
後一歩でヒソカに追いつく。っと思った瞬間、まるで透明な壁にでも激突したような衝撃を受けた。

「え?」

尻餅をついて呆然としていると、ヒョコッと横からヒソカが現れた。

「くくくっ❤︎ 鏡だと気付かずに思いっきりぶつかっちゃって……可哀想に❤︎」

こ、こいつぅ……!
未だに笑っているヒソカを睨み、また同じ事が起こらないように今度はピエロの後ろをぴったり歩く事にした。

「こちらで御座います」

ピエロは一際大きな鏡の前に立つと、扉のようにパカッと開いた。
促されるままヒソカと共に中へ入る。
鏡の扉を閉じると同時に、床が動き始めた。

「ヒィッ!!」

何これ何これ何これ!?
部屋全体が動いてる!?
船とは違って動きは静かだが、閉鎖された空間でこの落ちるような感覚は恐怖でしかない。
ヒソカは怖くないのだろうか……

「クククッ。 これはエレベーター。 余程の事がない限り死ぬ事はないから安心しなよ」

あ、あの顔は絶対私の今の状況を面白がってる!
ガタンッとエレベーターが止まると、ようやく自分が息を止めていた事に気付いた。

「こ、怖かった…」

フラフラとエレベーターから出た途端、全身の毛が逆立つのを感じた。

殺気だ。

緩んでいた気とは正反対に、身体は反射的に殺気を察知していた。
船に乗船していた受験者達とは雰囲気が違う。
片手に綿菓子を持っている私に場違いだと、喧嘩を売っているのだろうか。
いや、その視線は私にではなく……




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