第4章 奇怪×ナ×奇術師
「ここが今回の試験会場がある町か〜結構大きいですね!」
「そうだよ。 でも、ここナラパ市は小さい方だぞ」
と、凶狸狐さんは言ってるけど、私にとっては今までで1番大きい町だ。
「着いたぞ。 ここだ」
「ここは?」
「遊園地さ」
「ゆうえんち……」
初めて聞いた単語だ。
なんだかすごく彩り豊かで、人々の楽しそうな笑い声が聞こえる。
「中にいるピエロの格好をした係員に「ワンダーランドはどこですか?」と聞けば案内してくれるよ」
「ぴえろって…何ですか?」
「あ、もしかして遊園地にくるの初めてだった? ごめんごめん、途中まで一緒に行こう」
どうやら凶狸狐さんは耳が良すぎるため、あまり遊園地には近づきたくないようだった。
チケットの買い方を教えてもらい、入り口の手前で中を覗き込んで何かを探していた。
「あ! あれあれ!あれがピエロだよ!」
「分かった! ありがとう凶狸狐さん!」
「来年また受ける事があったら案内するぜー!」
最後の台詞に振り返って文句でも言ってやろうと思ったが、この人混みの中、ピエロを見失いそうだったので止めておく事にした。
「あのっ……すみません!」
ピエロに追いつき、その腕を掴む。
「ワンダーランドはどこですか?」
「おやおや、キミもワンダーランドを探しているのかい?♦︎」
振り返ったそのピエロはとても不気味な雰囲気を纏っていた
思わず反射的に掴んでいた彼の腕バッと離して距離を取る。
きっと、メイクのせい……かな。
こんな奇抜な格好をしているからそう思えるんだ。
「は、はい……」
「実はボクも探していたんだ。 これも何かの縁さ、一緒に探そうか♣︎」
嫌だー!
でもこの人混みの中を1人で探し出せる自身がない。
なのでこの人を利用することにした。 怖いけど。
「キミ、ボクの事ピエロだと思ったのかい?」
「すみません!」
「いいよ。 気にしてないから❤︎」
男はニコッと笑うが、同じく笑顔を返す事が出来なかった。