第4章 奇怪×ナ×奇術師
一本杉に向かって歩く事小1時間。
寂れた町が見えてきた。
「ちょっと不気味だな……!」
シン…と静まり返っていた町だが、前方からぞろぞろと仮面をつけた集団が現れた。
その中央には婆様に似た老婆がこちらを見据えている。
「ドキドキ…」
「?」
「ドキドキ…」
「ドキドキ?」
「ドキドキ二択クイ〜〜〜〜ズ!!!」
「ヒィッ!? 」
突然の大声にかなり驚きました。
「お嬢さん。あの一本杉を目指してるんだろ? ならこの町を抜けていかないと辿り着く事は不可能。 今から一問だけクイズを出題する。 考える時間は5秒、①か②で答えること。 それ以外の返答は全て不正解とみなし、即失格! 今年のハンター試験は諦めな」
ど、どうしよう……私頭良くないのに!
でも選択肢は2つ!可能性は五分五分!
イケる!
「分かりました」
「それでは問題。 悪党に姉と妹が捕まり、一人しか助けられない ①姉 ②妹 どちらを助ける?」
「!?」
こんな悪趣味な質問をするなんて
「5」
でも考えないと
「4」
どっちを助ける?
「3」
姉様は自分よりも強い
「2」
なら自分より弱い妹を助けるべき?
「1」
一方を見殺しにして…
「ぶーー終〜〜了〜〜」
「私には……答えられないっ」
実際に想像してしまった。
妹を助ける選択。
姉様を助ける選択。
どちらの選択も、私は納得できなかった。
「…っ」
どちらか一方を見捨てるなんて出来ない!
失格になった事よりも、一瞬でもどちらを見捨てようか考えてしまった自分が情けなくて恥ずかしい。
「合格だ」
「…え?」
「このクイズに正解なんてないし、出せるものでもない。 しかし①か②でしか解答できない。 なら沈黙するしか選択肢はないのさ」
「……そう、なんですか」
このクイズには他に何か意図がありそうだったけど、今はあまり考えたくない。
「さあこの道を進みな。 2時間も歩けば頂上に着く。 一本杉の下に住むナビゲーターをしている夫婦のお眼鏡に叶えば会場まで案内してくれるさ」
「ありがとうございます」
扉が開かれ、薄暗いそこへ足を踏み入れる。
「 優しい子だね。どんな残酷な現実が待ち受けていたとしても、きっと乗り越えられるさ。いいハンターになるんだよ」
老婆がそう言うと、扉はゆっくり閉ざされた。