第3章 新タ×ナ×目的
「さて、と…」
残ったのは良いものの、これからどうしようか。
町はある程度歩き回ったので、森の中を探索してみようか。
新しい生物にも興味がそそられる。
「決めた! 森で野宿しよう!」
森へと向かうと誰かに声をかけられた
初老の男が心配そうに私を見つめている。
「お嬢さん。 森の中にはキツネグマがいるから無闇に入らない方がいい」
「キツネグマ?」
是非見たい!
「あ! お嬢さん!」
「逃げ足は速い方なので大丈夫です!」
おじいさんの忠告を聞かずに、私は全速力で森へと向かう。
私が生まれ育った故郷に似てなくもないが、大きな違いは__
「か、可愛い……」
こんなに可愛いくて小さな生き物は初めて見た。
身体全体がふわふわでつぶらな瞳、食べてしまいたいぐらい可愛い。
故郷に生息している生物は生存競争によって全体的に大きく、見た目も厳ついものが多い。
こんなに可愛かったら即捕食されるから当然か。
可愛い生物に顔をニヤつかせながらしばらく歩いていると、ふと視線を感じた。
「……」
居心地が悪い。 殺気だ。
縄張りに入った侵入者を排除しようとする獣の殺気。
無駄な殺生をしたら母様達に厳しく罰せられる。
ので、速やかにこの場を離れなければ。
まだ姿を現さない獣をこれ以上刺激しないようにそーっとその場を離れようと足を動かす。
ガルルルッ
「___ッ」
相手はすでに戦闘態勢に入ってしまったようだ。
これは戦闘を避けられないかもしれない。
そう思った瞬間____
「おーい! コンー!」
そう遠くない場所から子どもと思しき声が聞こえた。
「コン! ん? …あ! 昨日のお姉さん!」
「……ゴン…?」
正直驚いた。
子どもが一人で獣がうろつく森の中を歩いていることに。
「下がってなさい!」
私は直ぐさまゴンの腕を掴んで背後に庇う。
しかし、ゴンは私を不思議そうに見つめる。
そしてとんでもないことを言い放った。
「コンは友達なんだ。 初めて見る人に少し警戒してるだけだよ」
「え?」
「コン。 このお姉さんは悪い人じゃないよ」
ゴンがそう言うと草むらからガサッと獣が姿を現した。
「おぉ…」
身体は大きいが顔立ちは可愛い。
ゴンが来なかったらきっと怖い顔しか拝めなかっただろう。