第26章 軍艦×デ×脱出
暗い海の中、僅かに見える光を頼りに泳ぐと無事に海面へ出ることが出来た。
『ぷはっ』
「トンパさん!」
トンパ? 光の元を見るとトンパが柱にしがみ付いて海面を照らしている。
『ありがとう助かった!』
「良いってことよ」
トンパにもやっぱりいい所あるじゃん。
船に近づいて行くと上から鎖が下ろされてくる。 遠くて良く見えないがあのもじゃもじゃには見覚えがある。
鎖にレオリオを括り付け終えると、クラピカが指示を出す声と共に爆発音が聞こえてきた。 そのすぐ後に船が動き出す。
「動いてる! ねぇ、この船動いてるよ!」
「そりゃ動くさ。なんたって船だからな! さぁ、はやく上がれ」
「うん!」
こんな状況でも嬉しそうに興奮しているゴンを、はやく上がれと急かすトンパ。
『さぁ、ゴン』
ゴンの背中を押したその時、爆発とは違う衝撃音が辺りに響いた。
『ゴン!』
その衝撃で手すりからゴンの手が離れるが、幸い背中に手を当てていたお陰で瞬時に服を掴むことができた。
しかし、全身を飲み込む荒波で私も流されてしまった。
『しっかりしてゴン!』
船に頭を打ってしまったのか意識がない。
ゴンが溺れないように抱き抱え、どんどん進んでいく行く船へ向かって必死に泳ぐ。
前後左右に身体を揺さぶられて上手く泳げない。 このままでは溺れてしまう。
半ばパニックに陥っていると、グッと身体が強い力に引っ張られるのを感じた。
波に押されたのかと一瞬思ったが、同時に波を掻き分けていた腕を誰かに掴まれた。
『ヒソカっ』
「やあ♥」
ヒソカが居てこんなに良かったと思ったことがあっただろうか。 ヒョイっと海から私達を引っ張り上げてくれた。
代わりにゴンを抱き、船が傾いてるせいで上手く歩けない私の腰に腕を回して補助をしてくれた。
『…ありがとう』
「どういたしまして♧」
『どういう状況なの?』
「岩礁に乗り上げて船がバランスを崩してるけど、ボクの友達に任せておけば大丈夫」
え、ヒソカって友達いたの?
『他の皆は無事?』
「問題ないからゴンと一緒に休んでなよ。 ボクが助けたことはナイショだよ♥」
人助けなんて恥じる行為じゃないのに。
秘密にする意味がわからない。 照れ屋か?
「人助けなんて柄じゃないからね♦」
『分かった。 でも、私は感謝してるから』
「はいはい♥」
