第26章 軍艦×デ×脱出
一緒に作業をしていた受験生2人に状況を聞くと、
『レオリオから反応がない!? どういうこと!』
レオリオに繋がれたロープを引っ張っても何かに引っ掛かっているようで引き上げられず、救助に向かおうにも潜水服がレオリオが着用しているひとつにみ。
どんな状況になっているのか分からない以上、救助に向かえば二次遭難の可能性が高いとのことでハンゾーが困り果てていた。
作戦が開始される直前でのトラブル。
もう嵐はそこまで迫っている中、レオリオを救助しに行くか、見捨てるかの判断がクラピカに任された。
出会って数日だけど、クラピカがレオリオを見捨てるはずがない。 しかし、ひとりを助けるためにほかの受験生達を危険に晒す行為も出来ないはず。
どっちを選ぶかなんて彼には無理だ。 金の管でやりとりしているためクラピカの表情は分からないが、この無言は明らかに絶望からくるもの。
『私が行く!』
「ニーナ!」
試験管補佐の禁止行為なんてしったこっちゃない。
そもそも、既に1回手を貸しちゃってるし今更でしょ!
海へ飛び込む瞬間にゴンの姿がちらりと見えた。
皆の只ならぬ雰囲気と、既に作業を終えているはずのレオリオの姿が見えないことに、瞬時に状況を理解したゴンがこちらへ向かってくるのが見える。
海底を目指して泳いでいくと、暗い海の中に馴染まないオレンジ色が見えた。
レオリオは倒れた砲弾の下敷きになって気を失っている。
砲弾を退かしているとゴンが追い付いて同じように障害物を退かしていく。
しかし、海中も荒れており左右前後に体が流されそうになる。
私達はなんとか踏ん張れるが、砲弾はそうもいかない。
退かせた砲弾が次はゴンを背後から押し潰してしまった。
このままじゃマズイ!
2人を抱えて上に上がるのは厳しいがやるしかない。
ゴンとレオリオをぞれぞれ脇に抱え、目の前の障害物を蹴飛ばしていく。
足だけで泳いで上へ上がろうとするが、うまく泳げない。 息も苦しい。
ここからなら2人を上へ向かって押せば水面まで浮いていくだろうか。
そうこう考えていると、レオリオが目を覚ました。
「すまねぇ!」
そう言って酸素の供給管を私の口に押し付け、その後気を失っているゴンの口に当てた。
ハッと目を覚ましたゴンが私の脇からすり抜け、レオリオの反対側へ回る。