第26章 軍艦×デ×脱出
船に乗っていた受験生達が竜巻に引き寄せられていく。
「っ!」
ゴンが助けに向かおうとするも、既に手遅れだとクラピカが引き留める。
確かに、こんな大荒れの海の中ではまともに泳げないし、この距離ではとても間に合わない。
「うわぁああ!」
無惨に竜巻に吸い上げられていく受験生達、悔しいが何も出来ない。
「早く中に避難するんだ!」
ハンゾーの指示でみんな艦船の中へと逃げていく。
「ゲレタ!」
声のした方を向くと、ボートに乗ったあのモジャモジャ頭の男が流されていた。
『ゴン!』
目の前をゴンが走り過ぎていく。 まさか助けるつもり?
戸惑いなく海に飛び込んだゴンをキルアが追いかけるが、ハンゾー達に止められ、代わりにボートで追いかけることに。
『このロープをボートの先端に縛って! 私が持ってるから!』
手すりに巻き付けてあったロープを掴み、片端をハンゾーに投げる。
「持てるのか?! この嵐だぞ!」
『当たり前!』
「任せたぞ!」
ゲレタが乗っているボートに追いつけたゴンが、釣り針をキルアへ投げ、それをロープへ絡めて投げ返した。
これでもうこれ以上流されることはない。
キルアが大きく手を振っているのが見えた。 引き戻す合図だ。
ロープを引こうとした時、レオリオとクラピカ、更には避難していた受験生達さえも駆け寄ってきて皆でロープを引き始めた。
ハンター試験は仲間がいつ敵になるかも分からないのに、今こうして協力して助け合ってい状況に自然と笑みが浮かんでくる。
無事にゲレタを救出し、艦内に避難して嵐が過ぎるのを待つ。
しばらくして、強風は収まり外に出ると潮が引き始めていた。
これで助かったと安心するのも束の間。
「落ち着いている場合ではない。 24時間後、第二波がくる。 しかも今度は……」
クラピカが視線を上に向ける。
その視線の先を追うと一番高い場所、見張り台にフジツボが付いていた。
『なんであんな所にフジツボが?』
あんな所にフジツボが付くなんて。
「24時間後、この海域から全てが消える」